2007.07/01 [Sun]
ボルベール <帰郷>
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス/カルメン・マウラ他
失業中の夫と15歳の一人娘パウラを養うため、せわしなく働くライムンダ。明るくたくましい彼女にも、10代の頃、確執のあった母がそのまま父と一緒に火事で亡くなってしまうという苦い過去があった。そんなある日、夫がパウラに関係を迫り、抵抗したパウラに刺し殺されてしまう。ライムンダは愛娘を守りたい一心で、夫の死体の処理に奔走、事件の隠蔽を図る。そのさなか、今度は故郷ラ・マンチャに住む伯母の急死の報せが。ライムンダの姉ソーレが葬儀へ駆けつけたところ、彼女はそこで死んだはずの母イレネの姿を見掛けたという奇妙な噂を耳にするのだったが…。
公式ページ
アルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』に続く女性賛歌三部作の最終章。
昨年のカンヌ映画祭でアルモドバルが脚本賞を、出演女優全員が女優賞を受賞し、アカデミー賞でもペネロペが主演女優賞にノミネートされていた作品で、アルモドバリアンとしては非常に楽しみにしていた作品です。
アルモドバル作品の初期の常連カルメン・マウラの出演も嬉しい限りです。
と言っても、私は『ハイヒール』以降くらいの氏の作品の方が好きなのですが・・(笑)
不甲斐ない夫と思春期の娘を支えて働くしっかり者のライムンダ。
ある日、仕事から帰った時の娘パウラの様子が変。
「何があったの? パパは?」「キッチンにいる」
そのキッチンにいた夫はパウラに刺されて血の海の中、既に事切れていた。
失業中で酔っていた夫は、娘パウラに「本当の父親ではないから」と関係を迫って来た。
脅すつもりで包丁を向けたら本気にせず抱きついてきたため思わず刺してしまったのだった。
娘を守るため、前に働いていた今は空き家の隣のレストランにある巨大な冷凍庫に遺体を隠していた時、子供の頃世話になった伯母が息を引き取ったと連絡が入る。
伯母は両親が死んでしまった大火災の後、心労等が原因でボケてしまっていたのだった。
鮮やかな原色がまぶしく、ライムンダのカーディガン、夫の身体の周りの血の海。
アルモドバル・レッドとでも言いたくなるような真っ赤が印象的で、ゾクゾクとして嬉しくなる。
パウラは「本当の父親ではない」というのはライムンダが庇って言った事だと思っていたが、本当に実父ではないという。
大火災で死んでしまったという両親。
が、伯母の葬式の際、村人達は死んだはずのライムンダの母親を見たという。
ライムンダの故郷ラ・マンチャでは死んだ人が帰ってくるのはよくあることだと・・・・^^;
サスペンスの要素でグイグイ引き付け、相変わらず時々プッと笑わせてくれる。
まぁサスペンス映画ではないので、ある程度の予想はすぐに付くけど、娘を思う母親の無条件の愛、全ての娘達の母を慕う気持ち。
思わず涙腺が緩み、暖かい気持ちにさせられる。
ちゃっかりレストランをやっている部分など、相変わらず突っ込みを入れたい部分もない訳ではないけど、やっぱり好きだ~~~♪ アルモドバル♪
ペネロペもワールドワイドの大女優さんになってしまったけど、水を得た魚ってこういう事を言うんでしょうね。
カンヌで女優賞を受賞した6人。
ホントに素晴らしかったです。
カルメン・マウラやペネロペは勿論、娘役のヨアンナ・コバはこれからスペイン映画ではちょくちょく見かけることでしょう。
ライムンダの姉ソーレ役のロラ・ドゥエニャスは『海を飛ぶ夢』でテレビのドキュメンタリーで見て訪ねて来る貧乏な子持ちの女性役の、最後に重要な鍵を握ったあの女性です。
印象薄めだけど、いい役を演じているんだなぁとちょっと感心したりして・・・(^^ゞ
タイトルにもなっているタンゴの名曲『VOLVER(帰郷)』を歌うシーンも必見。素敵なシーンでした。
- at 18:38
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ドモドモ-♪
この映画、今年のマイベスト入りになると思いまふ。
ペネロペは、そうね、ハリウッド映画よりこちら系の映画の方が彼女の魅力を発揮出来るのではないかしらね。
賞を受賞した皆さん6人ともどの方も素晴しかったけれど、自分的にはペネロペ以外ではカルメン・マウラとロラ・ドゥエニャスが印象的でありました♪
で、ロラ・ドゥエニャスって、「海を飛ぶ夢」の彼女なのですねーー!
いやー、知りませんでした、もう一度あの映画を観てみたくなりましたですヨー!